大判例

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東京高等裁判所 昭和49年(行コ)34号 判決

国鉄は、昭和四二年三月末、輸送機能の機械化、近代化を推進して近代的輸送機関に体質を改善することを図り、「機械・装置中心型」体制の作業方式に移行することにより、蒸気機関車時代からの助士制度を廃止するなどして生み出される要員を同四三年一〇月のダイヤ改正を中心とする輸送の改善のために必要な部門に振り向けることを骨子とする、いわゆる五万人合理化計画を国鉄動力車労働組合(以下動労という。)、国鉄労働組合及び新国鉄労働組合に提案し、交渉を重ねていたが、動労は、同計画は組合員の労働条件を悪化させるものであるとして、強く反対し、特に助士制度廃止の計画が撤回されないかぎり、同ダイヤ改正には応じられないとして、同四三年九月九日から、動労所属の全国の地方本部に対し、出発信号機に対するロングの地上子で警報が鳴ったときは、直ちに列車を停止させることなどを内容とする、いわゆるATS行動を指令するとともに、同月一二日、一部の地方本部をしてストライキを実行させた。右ATS行動の指令を受けた地方本部のうち五、六の地方本部ではATS行動をしなかったが、控訴人らの属する動労高崎地方本部では、同指令に基づき、控訴人らを含む同組合員に対してATS行動を指令し、控訴人らは同指令に基づいて本件行為をし、控訴人らの運転した各列車は約一五秒ないし三分程度遅延したことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。

右認定事実によれば、控訴人らのした本件行為は国鉄の輸送業務の正常な運営を阻害した団体行動(争議行為)であったということができる。そして、国鉄の職員として列車の運転に従事する者が運転に関する法規ないし業務上の指示を遵守せず、安全運転の名のもとに、みだりに列車を停止することが許されるとすれば、乗客の生命身体の安全及び円滑な輸送の確保は期待できず、ひいては国民生活が著しく危うくされる恐れがあるものといわざるをえないから、控訴人らのした本件行為による業務阻害の程度は必ずしも大きなものとはいえないとしても、本件行為は、公共企業体等労働関係法第一七条第一項で禁止されている「行為」にあたり、違法なものであるというべきである。

(枡田 福間 古館)

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